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HYLOGICS

今後は各分室にコンテンツを移して、ここは雑記や暮らしを中心としたライフログ的な何かにしていく予定です。

読書メモ - 【SF小説】虐殺器官(伊藤計劃)

書評

「ではあなたは、ことばをどんなものとして見ているのですか。人間の現実を規定するものではないとしたら、ことばにはどんな意味があるんですか」

「もちろん、コミュニケーションのツール。いいえ、違うわね……器官、と呼ぶべきかしら」

やっと読み終わった。

ゼロ年代の日本SFを代表するとも言われている伊藤計劃のデビュー作。やたら持ち上げてる感あったので気になっていたものの実際読んだことがなかったのですが、kindle買った際にSF熱が再発して手に取ったのが本書。(これの一つ前は十数年ぶりに「幼年期の終わり」を読んでました)

前半読んでてその無機質さと平坦さに何度か読むのやめようかと思いましたが、第二部5章のルツィアとの語りから段々引き込まれて結局最後まで読んでしまいました。冒頭の引用はその会話から。

そのうちハーモニーも読みたいと思います。
続けて読むと胃もたれしそうなので 今はまだちょっと。

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

以下、自分用読書メモから前半部分をば。


舞台は近未来。

先進国では拡張現実や人工筋肉など発達した技術により人々が豊かな暮らしを享受する反面、 後進国では紛争が絶えなかった。

主人公であるクラヴィスは米国の特殊部隊員。機密とされる暗殺部隊に所属し、最先鋭の装備を身にまとい指令のままに人を殺す。

幼い頃に父親とは死別しており、また母親も数年前に事故に遭い植物状態になり彼自身が延命措置を停止したため死亡している。

生きる意味を持たないクラヴィスは指令のまま国々を渡り要員や若年兵を殺し、日夜自分の母親を筆頭とする死人の群れに追い回される悪夢にうなされていた。

幾つかの任務をこなしていく中で浮かび上がる焦点、ジョン・ポール。何度追えども捕まらない、各種センサーや認証チェックの網を逃れ続ける亡霊のような彼こそが後進国で虐殺や内紛を巻き起こす元凶だった。

クラヴィスは彼を追いかつての彼の愛人ルツィアが住む街プラハへと派遣される。ルツィアとの会話の中でクラヴィスはジョンがかつて研究してた内容に思い至る。

それは虐殺の文学。人間が持つ言葉という器官に特定の文脈を組み込むことで人々は大量殺戮へと誘導されていくのだ。

文学という共通の話題を持つルツィアと意気投合するクラヴィスの前にジョンが現れ、ルツィアを連れて彼の前から去ってしまう。

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)